前回の続き
■"高速シャッター"の写真は困難
「なんだよ、シャッタースピードを速くして撮れば、
きれいにハンマーヘッドシャークが撮れるのね、
それ早く言ってよ」
という声が聞こえてきそうですが、実は本題はここから…
シャッタースピードを速くして撮る、ということが水中ではとても難しいのです。
理由は暗い、すなわち、光が少ないからです。
コンパクトデジタルカメラを使っている人の多くはオート(全自動モード:水中モードを含む)で撮影している人が多いと思います。下の写真のデータを見比べると解りますが、地上では1/450で撮ってくれるカメラが、水中では1/40、1/60程度とシャッタースピードの設定が極端に遅くなって撮影されてしまいます。
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地上で神子元島を撮影した写真(全自動モード)。曇り空でシャッタースピードは1/450秒、F4.5です。ちなみにこの写真、神子元島に大きな貨物船が激突して座礁している珍し~い写真なんです(本題とは全く関係ありませんが(^_^;))
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その神子元島、海中の写真(全自動モード)。ウミガメを撮るダイバー。シャッタースピードは1/40秒、F2.8です。カメラは自動的にF値を上げて光を最大限取り込んでいるにもかかわらず、地上に比べて10倍以上も長い時間、露光が必要となっています。
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水中での撮影は光が少なく、地上でいえば夕方のような、または自宅室内での撮影のようなものです。光が少ないため、カメラは必要な光量を得るためにシャッタースピードを自動的に遅く設定して撮影します。そのため、手ぶれ、被写体ブレが発生しやすくなり、ハンマーヘッドの群れに運良く遭遇しても、ブレた写真を量産してしまう結果になりかねません。
さて、ここで気付いたことがあります。いま紹介したウミガメを撮るダイバーの写真、実はカメラの性能からすると、もっとシャッタースピードを上げて撮ることができるはずなのです。それなのにカメラはシャッタースピードを上げないのは、カメラにとってみれば「シャッタースピードをできるだけ速くして撮る」という命令を受けていないからです。
良いカメラ機種とかダメなカメラ機種とか雑誌にはよく載っていますが、神子元の初中級ダイバー向けのカメラ、という実にコアな環境で、良いカメラの条件をいうならば、全自動の設定で撮影したとき、できるだけシャッタースビードを速い設定で撮ってくれるカメラ、といえるかもしれません。
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電子ブック写真集「神子元島 ~ハンマーヘッドシャークが来る海 記録写真集~」より再び。写真集をご覧になった方の中には、このハンマーが背中に負った大きな傷跡をみて、ちょっとショックを受けた人もいるかもしれませんね。この写真はシャッタースピード1/400、F2.8で撮られた写真、バッチリ鮮明に写っていますね。 |
■いつもどれくらいのシャッタースピードで撮っていますか?
コンパクトデジタルカメラで撮影している人は、いつも自分がどのくらいのシャッタースピードで撮影しているか解らない、という人も多いと思います。カメラ任せならシャッタースピードなんか知らなくたって地上ではあまり困ることもありません。暗ければ自動的にフラッシュが発光してくれますし。
シャッタースピード(露光時間)は通常、撮ったカメラの液晶画面で確認することができます。既に写真をパソコンにコピーして保存している人はパソコンでも確認することができます。写真1枚1枚に「EXIF」(イグジフ)と呼ばれる撮影情報を記録できる領域が決められていて、撮影日の他にこうした撮影情報も実は記録されています。それを確認すれば良いのです。
Windows 7 での確認のしかた
- マイコンピュータやエクスプローラで、撮影情報を確認したい画像ファイルを右クリックします。
- ポップアップメニューが表示しますから「プロパティ」を選択します。
- プロパティのウィンドウから「詳細」タブをクリックします。
- Exif情報が表示されますので、下にスクロールして「カメラ」欄の「露出時間」を確認します(これがシャッタースピード)。
Macintosh での確認のしかた
- 撮影情報を確認したい画像ファイルをダブルクリックして、画像(プレビュー)を表示します。
- 「ツール」-「インスペクタを表示」を選択します。
- 「詳細情報」タブをクリックします。
- 「Exif」をクリックします。
- 「露出時間」を確認します(これがシャッタースピード)。
自分がどのくらいのシャッタースピードで撮影しているか解らない、という人は試しに確認してみてください。1/40や1/60で撮られていたら失敗写真やぼや~んとした写真が多いはずです。シャッタースピードを確認しながら今まで撮った写真を見ていくと、写真にどのように影響するのか具体的に解ってくるかもしれません。
では、シャッタースピードを速くして撮るためには? カメラや器材選び、その他のテクニックは・・なんて話しを次回以降したいかな~と思っています。
続く・・(かも続かないかも(^_^;))。
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