スマートフォンの意味
英語を翻訳すると、「Smart」は「賢い、利口な、知的な」、「Phone」は「電話」です。
その意味のとおりだとすればスマートフォンは「多機能な電話」ということになります。ところが、実際のスマートフォンを機能的に見ると、電話よりパソコンに近いものです。
日本の携帯電話は特に、世界でも類を見ないほど独自に高機能化してきました。
通話だけなく、iモードやEZwebなどを使って電子メールを送受信したり、Webページを閲覧することが携帯電話でもできました。
また、カメラ撮影、ワンセグでテレビ視聴、音楽再生、独自のスケジューラなど、使いこなせないほど多くの機能を備えているので、十分「多機能な電話」と言えるのですが、「スマートフォン」とは呼びません。高機能な携帯電話は「フィーチャーフォン」と呼びます。
では、従来からある「高機能な携帯電話」と、今注目されている「スマートフォン」の違いはなんでしょうか。
両者の違いは実は曖昧で、日本と欧米でスマートフォンの定義はやや異なっています。高機能な携帯電話は、電話の音声通話機能を基本にデザインされ、データ通信やカメラなどの機能を装備して進化してきました。一方で、スマートフォンはインターネット端末としてデザインされ、その機能の1つとして音声通話機能を備えています。
今のスマートフォンは、アップルの「iPhone」が切り開き、GoogleのAndroidとともに開拓してきた市場と言えます。電話本来の機能である「通話」はあくまでひとつの機能であり、むしろ通話より、文字や画像、データのやりとを主体とした機器なのです。
■Text : 神崎洋治 (ITコラムニスト)