レンズのF値と価格と性能の関係


白いレンズが憧れの(*^_^*)?

前回は、

  1. F値が少ないレンズほど明るいレンズである
  2. 明るさについて言えば、F値が少ないレンズほど性能が良い
  3. F値が少ないレンズやカメラほど、写真のブレが少ない

という話しをしました。

今回は、そのあたりをもう少し詳しく解説しましょう。

プロが使うレンズはなぜ高い? F値と明るさと価格の関係

1.F値が少ないレンズほど明るいレンズである

カメラと撮影技術を知る上で、F値には2つの意味があります。
ひとつは使っているカメラのレンズの最大の明るさを示す数値、ちょっと難しく言うと、絞りを完全に開いたとき、絞り開放時の明るさを示し、それはすなわち、”明るさ”について言えばレンズの性能を表わす数値ということです。

もうひとつは撮影時の絞り値のこと。これも写真の露出、すなわち明るさに関することなんだけど、撮影術についてはまた後日、ゆっくりと解説しますね。

2.明るさについて言えば、F値が少ないレンズほど性能が良い

もともとカメラやレンズの「性能」というのは明るさ「だけ」ではかるべきものじゃあありません。しかし、カメラやレンズの性能をみる上で「F値」はとても重要な要素になります。

ちょっと脱線しますが、もし自動車のカタログに「最高速度」という数値が載っているとしたらどうでしょう。かたや(時速)300km/h、もう一方は200km/hだとします。スピードマニアの人が見れば、300km/hのクルマに魅力を感じますし、サーキットで実際にそのスピードで走りたい、と思うでしょう。また、実際に300km/hで走らない人でも、それだけ走れるエンジンなら、高速道路でも街乗りでも、余裕を持って気持ち良く走れるだろう、とそのクルマをチョイスするかもしれませんね。つまり、時速300km/hという数値は高速性を重んじる人には性能が良い、と判断して然りな要素であるわけです。

しかし、クルマの魅力はスピードだけではありません。居住性だったり、乗車定員だったり、燃費だったり、四輪駆動であることに魅力を感じる人、と様々です。それでいいのです。
これをレンズに置き換えてみると、明るいレンズというのはプロカメラマンやハイアマチュアの一部の人には「高いお金を出してまで欲しい」と思わせる要素のひとつ、魅力のひとつなのです。

 

事例紹介とレンズ選びの実践

実際に販売されているレンズで比較してみましょう。
事例紹介とレンズ選びの実践です。

ここに3つのレンズ製品があります。
一眼レフに装着するために市販されているレンズです。
いずれもメーカーはキヤノンです。

 レンズ名称  希望小売価格
 EF70-200mm F2.8L IS II USM  300,000円
 EF70-200mm F4L IS USM  158,000円
 EF70-300mm F4-5.6 IS USM  68,000円

※製品名をクリックするとアマゾンでの実売価格が確認できます。

EF70-200mm F2.8L IS II USM

ズーム 70~200mm
F値 F2.8

EF70-200mm F4L IS USM

ズーム 70~200mm
F値 F4.0

EF70-300mm F4-5.6 IS USM

ズーム 70~300mm
F値 F4~5.6

レンズ名称の最初の数値はズームの望遠を示しています。上の2つはいずれも70mm~200mmの望遠ズームレンズです。一番下だけ70mm~300mmですので、一番下が最も望遠がきく、つまり遠くの被写体を大きく写すことができる性能がある、ということです。

しかし、お値段をみてどうでしょう?
一番上のレンズは30万円もします。
2番目はほぼ半額の安さです。
そして、最も望遠で大きく写せるはずの一番下のレンズの価格は 1/4以下の安さです。

ズーム性能で言えば一番下が最も優れているはずなのに、一番上がスパ抜けて高価・・・その理由のひとつ、というか大きな理由がF値なのです。

一番上のF値はF2.8、二番目はF4、
一番下はF4~F5.6です。

これがF値が生み出す価値なのです。

もちろん、高いレンズと安いレンズでは「F値」だけでは語れない違いがありますが、あえて解りやすく、このような比較をしてみました。

ちなみに、ここで紹介したキヤノンのレンズ、高級なモデルは白いレンズボディが目印になっています。サッカー中継などで報道カメラマンが撮影する姿が見られますが、白いボディのレンズを装着している人が多いと思います(ニコン派の人は黒)。動きの早いスポーツ写真を撮るのには、少しでも早いシャッタースピードで撮りたい、そのためには明るいレンズに価値が出るのです。

 

コンパクトデジタルカメラもレンズをチェック

本来、コンパクトデジカメについてもレンズ性能はとても重要な要素です。しかも一眼レフのように後からレンズだけ交換することはできません。だからむしろ、コンパクトデジタルカメラこそ、機種選びをするときにF値は注目したい点なんですね。
コンパクトデジタルカメラで比較する例は「F値でカメラやレンズを比べる方法」で解説していますのでご覧ください。

著者: 神崎洋治 ()


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