サクラの花をきれいに撮る方法 PLフィルターの実力は?


いよいよ桜の季節がやってきました。
毎年、やってくるとはいえ、残り人生のことを考えると何回見られるかなぁ、あと20回見られるかなぁ等と思い入れも感じる今日この頃です。

桜の季節と言えば、やはり綺麗な桜の写真をカメラで撮って残したいものですね。
しかし、どうも桜がきれいに撮れないと、お嘆きの方も多いと思います。

また、桜見物のブロガーさんたちも、桜の風景を如何にきれいに撮ってブログに載せるかを思案していることでしょう。

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サクラを綺麗に撮るにはPLフィルターが有効です。
今回はそんな話しを。

桜の花はピンク色からだんだん淡くなる

ところで、桜の花はいざ写真に撮ってこると、意外に白っぽいな、と感じる人も少なくないと思います。

大きな理由が2つあります。

花の撮影に慣れている人は知っていると思いますが、実は桜(ソメイヨシノ)の花って咲き始めは
ピンク色が強いんですが、満開に近付くにつれてだんだんと白っぽく、淡い色に変わっていくんです。

たいていの人は満開に合わせて花見に行って写真を撮るので、既にだいぶ白っぽくなった桜の花を撮る機会が多くなるわけです。

だから印象よりも白いなぁ、ということになるのですが、ヒトの記憶にも、もっとピンク色が残っていると思います。これを「記憶色」というのですが、この記憶色も実は正しいのです。実際にサクラの花は写真で見るより、目にはもっとピンク色に見えていたからです。これが2つめの理由です。

どういうこと? って?
写真は光の反射によってサクラの花の色が白っぽく写ってしまっているのです。しかし、ヒトの目はこの光の反射を無意識に判断し、脳内で反射していない本来の色を認識しているのです。
だからピンク色に感じているのです。

その反射を取り除き、本来のピンク色出すのがPLフィルターの役割です。

光の反射等で花の色が正確に出ない

光の反射で白めに写る、これは実は紅葉の写真も同じことがいえるのです。
下の写真はiPhoneでPLフィルターごしに撮ったものです。

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iPhoneでもきれいに色が出るでしょう。青空のグラデーションは表現できていませんが、黄色から真っ赤に萌える紅葉が実に忠実に表現されていると思います。

さて、本題に戻りますが、写真撮影にとって「光」はなくてはならないものですが、実はずいぶん悪さもします。

その代表が反射、乱反射です。

風景写真で言えば、花、葉っぱ、芝生、木々など様々なものが光を反射しています。

そしてその反射によって、時には写真が白飛びしてしまいます。明るすぎてその部分だけ真っ白になってしまうことです。

逆に黒くもなります。白く反射しているのをカメラが感知して自動で露出を下げる、つまりレンズを通す光を少なく制限することによって、写真が黒ずんでしまうのです。これは鮮やかを失うということです。

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上がフィルターなし、下がPLフィルター使用

PLフィルターとは

反射を防ぐには「PLフィルター」というレンズフィルターをカメラに装着して撮るのが有効です。
PLフィルターは「偏光フィルター」とも呼ばれ、乱反射を抑える役目を持つフィルターでとても有効なんです。カメラ店で、2千円くらいから売っています。

PLフィルターの写真。一眼レフカメラ等のレンズの前に装着します

PLフィルターの写真。一眼レフカメラ等のレンズの前に装着します

通常、レンズの前部はネジ切ってあり、フィルターが装着できるようになっています

通常、レンズの前部はネジ切ってあり、フィルターが装着できるようになっています

これを使うと、桜の花びらの反射を抑えて本来の淡いピンクがしっかり撮れる可能性が高くなります。また、背景の空と白い雲はくっきりと鮮やかに、木々や芝生もすっきりと、本来の色で撮れる、というわけです。PLフィルターは空を青く印象的に撮りたいときにも必須のアイテムです。

もう一度サンプル写真をよく見比べてみましょう。
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写真上は芝生の土手や木々がずいぶんと黒ずんでいます。

しかし、反射を防ぐレンズフィルター「PLフィルター」を使って撮った写真下は空の色、芝生の色の色合いがきれいに出ています。これがPLフィルターの効果のひとつです。

PLフィルターはブロガーやネットショップの撮影にもいろいろと効果的なんです。

例えば反射を抑えるフィルターですから、ショーケースやショーウィンドウの反射を抑えてガラスの向こうや中をきれいに撮影することができます。時計の文字盤もガラス面を反射させずにきれいに撮ることができます。

下の写真を見るとPLフィルターの効果の程が解ると思います。
クルマのガラスは反射のために運転席の中はまるで見えませんが、PLフィルターを装着するだけでスッキリし反射がなくなって、車内がよく見えます。

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PLフィルターはアマゾンでも購入できます。ただし、一眼レフ等のカメラに装着して使用する場合胃、レンズの幅(レンズ径)や口径サイズに合ったものを購入するようにしてください。
複数の口径のレンズを使っている場合は大きい方の口径に合わせてPLフィルターを買い、小さい口径のレンズに装着するための「ステップアップリング」を併せて購入すると良いでしょう。

> ちょっと高価なPLフィルター(薄型、ワイドレンズにも安心)
> 入門用の廉価なPLフィルター(廉価だけど使いやすくて効果もGOOD)
> ステップアップリングの例(小さい径のレンズに大きい径のフィルターを装着するアダプタ)

スマホでもレンズフィルターを使っちゃう

通常レンズフィルターは一眼レフ用に販売されています。
でも、見てくれを気にしなければ、iPhoneやAndroidスマホで使っても効果は同じ。
レンズの前にこんな感じで押し当てて、使うことができます。
PLフィルターをスマホと一緒にポケットにひょいと入れてサクラ見物に出かけましょう!!

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格好は悪いけどそこは綺麗な写真を撮るため(*^_^*)

今年のサクラ撮影~早速、試してみてはどうでしょうか!!

ps; お知らせ 週刊アスキーに記事を執筆しました。
ちょこっとですが、よかったら読んでくださいね。


著者: 神崎洋治 ()
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