F4-5.6 という範囲が意味すること
ところで、「EF70-200mm F4L IS USM」158,000円と「EF70-300mm F4-5.6 IS USM」68,000円は同じF4なのにどうしてこんなに値段が違うのだろう? と疑問に感じる人もいるでしょう。
レンズの商品名にある「EF70-300mm F4-5.6」の意味は、70mm~300mmの望遠ズームができますが、F値は70mmのときがF4で、300mmの超望遠にするにしたがって段階的にF値はF5.6まで落ちてしまいますよ、という意味です。それで「F4-5.6」と範囲で示されているのです。
一方、「F70-200mm F4」の意味は、70mmでも200mmでもどんなズーム(焦点距離)を使っているときも「F4」ポッキリですよ、という意味です。これを「全域でF4」と呼びます。
レンズを開発する上でこの違いが実は大きいのです。
「望遠側にズームすれば暗くなる」というのは言わば当然のこと、それを全域で明るさが変わらない、しかもクリアなレンズを作る、というところはメーカーの技術の見せどころなのです。生産にも精度が要求され、手間もかかかります。
特に「全域でF2.8」はニッパチと呼ばれて、特に難しく、一眼レフ用のズームレンズとしては明るく高性能、だから高価とされている分野なのです。
ズームにすると手ぶれしやすい?
さて、お手元の・・ご自身のレンズを見てみましょう。
下の写真は前々回「どちらが高級なレンズでしょうか?」に登場した小さい方のレンズです。
一眼レフの場合、このようにレンズの枠や周りにズーム倍率やF値が書いてあるんでしたね。この例の場合は、ズームが80mm~200mm、遠くを撮るのにも便利な望遠です。そしてF値は、比較的近くを撮る80mmにしているときはF4.5ですが、望遠の200mmではF5.6とやや暗くなります。
おや?
「EF70-300mm F4-5.6」を使っている場合、70mmのときはF値がF4でも、300mmの超望遠にしたときはF5.6に落ちてしまうということは、望遠を使う方がブレが出やすいということ?
そう思った人は鋭い!!
そうなんです。
そもそも、望遠になればなるほど、わずかな手の揺れでも大きく揺れて手ぶれがしやすいのですが、それとともにこのようなF値に範囲があるレンズの場合は、望遠側の開放F値は大きくなり、暗くなってしまうので、シャッター速度が遅くなります。(全域F値が変わらないレンズの場合は別です)
望遠ズームで寄ればキレイな写真が撮れるってものでもないんです。
次回以降はそのあたりにも迫ってみましょう。
今回は「キレイな写真を撮りたいならF値と明るさで選ぶ」という考え方もある、というお話しでした。次回もお楽しみに♪
著者: 神崎洋治 (Google+ ページにアクセス)