ミラーレスと一眼レフの違い
前回、一眼レフと呼ばれる理由を解説しましたので、今回はミラーレスカメラがミラーレスと呼ばれる理由を解説します。
タイトルの「どこにミラーがあるの?」の説明もします。
いやいや、ミラーレスっていうくらいですから、ミラーレスカメラにはミラーはありません(^^;)。
一眼レフもミラーレスもレンズ交換式カメラなので、カメラ本体からレンズを簡単にはずすことができます。レンズをはずした状態で、レンズの穴からボディ内部を覗き込むとこんな様子が見られます。
まずはミラーレスカメラです。本体の中を覗き込むと「撮像素子」が見えます。この写真ではきれいな青が印象的ですね。(写真はミラーレスカメラ「ソニー α NEX-7」)
撮像素子はイメージセンサーとも呼ばれ、フィルム式カメラではまさにフィルムにあたる部分、つまり写真として像を記録する部分です。レンズを通して、この撮像素子に当たった光を写真として記録しています。
この撮像素子の大きさは写真の品質を決定づけるひとつの大きな要素となっています。
では、次に一眼レフを見てみます。
一眼レフの場合はカメラ本体内部を覗き込むと、反射ミラーが見えます。一見、撮像素子のように見えるかもしれませんが、この写真の白い四角いものは斜めに置かれた反射ミラーです。一眼レフの場合、撮像素子はこのミラーの後ろに隠れるように配置されています。(写真はデジタル一眼レフカメラ「キヤノン EOS 70D」)
前回も解説しましたが、一眼レフの構造はレンズの光を反射ミラー(レフレックスミラー)で上に屈折させています(下イラスト)。このイラストはデジタルカメラの断面を横から見たときの光の経路を現しています。このような構造のため、レンズをはずして覗き込むと、レンズ穴からは反射ミラーが見えるのです。
そして、ミラーレスカメラはこの反射ミラーがないので「ミラーレス」と呼ばれているのです。
ミラーレスカメラの構造
ミラーレスは、一眼レフのような覗き窓式の光学(レンズを通して直に見る)ファインダーを持ちません(下イラスト)。ファインダーは背面の液晶に映し出しています。また、覗き窓式であっても覗き窓には小さな液晶が入っていて映像を映す「EVF」式です。そのため、反射ミラーが必要ないのです。
言い換えれば、構造から反射ミラーを取り払うのと引き替えに、光学ファインダーを失い、小型のボディを手に入れました。ミラーレスの構造はとてもシンプルです。
レンズから入った光はカメラ本体を直進し、奥の撮像素子に届きます。その光を映像に替えて、液晶に映し出しています。こういった構造を見ると、一眼レフとミラーレスはとても大きな違いがあります。液晶ファインダーは速く動く被写体を狙ったり、一瞬のシャッターチャンスを捉えたいときには大きなハンディとなります。
実は、少し前までは、機能的に一眼レフとミラーレスはもっとたくさんの相違点がありました。
逆にミラーレスの方が一眼レフより優れている点もいくつもあります。
しかし、「Nikon 1」や「EOS 70D」等の登場によって、一眼レフとミラーレスの違いは一気に少なくなってきています。
ミラーレスと一眼レフの機能的な違いについては次回以降に解説しますのでお楽しみに。
著者: 神崎洋治 (Google+ ページにアクセス)
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