最近になってますます、ミラーレスカメラの人気が加速しています。
大人気のミラーレスカメラはなぜ生まれたのでしょうか。
なぜミラーレスカメラは誕生したのか
それは高画質な写真が撮れて、より小さいカメラが求められているからです。
ミラーレスが誕生する以前から、一眼レフも熾烈な小型化の争いが繰り広げられています。ペンタックス、オリンパス、キヤノンのEOS Kissなどがより小さなボディの一眼レフを発表し、世界最初・最軽量を争っています。写真は世界最小・最軽量の一眼レフ(2013年11月)をうたう「Canon デジタル一眼レフカメラ EOS Kiss X7」。
運動会や学芸会などで子供の晴れ姿を撮ったり、家族旅行を高画質で撮りたいというニーズは強く、そのユーザー層には主婦も多かったため、従来の一眼レフは大きくて重たいと感じていたからです。
一眼レフでは、オリンパスやパナソニックが提唱した「フォーサーズ」という規格が、デジタルカメラ用に小さくデザインされ(撮像素子も幾分小さい)、小型化を推進していました。
しかし、以前にも解説したように、一眼レフはまるで潜水艦の潜望鏡のように、ボディ内で複雑な光の反射を行っていますので、小型化には限界があります。いわば、これ以上小さくすることはできないところまで来てしまいました。また、そのしくみから、カバンやポケットに入れて持ち歩きやすいような長方形を基調としたデザインにはしにくかったのです。
そこでフォーサーズ規格では、一眼レフの最大の特徴である反射ミラーを取ってしまうことにしました。更に、撮像素子は同じサイズのままボディもレンズも小型化する方式をとりました。
こうしてミラーレスカメラの先駆けとなる「マイクロフォーサーズ」規格が誕生し、後に大ヒットするミラーレスカメラ「オリンパスPEN」が発売されるに至るのです(写真は2013年12月1週めのアマゾン売上ランキング1位のOLYMPUS ミラーレス一眼 PEN mini E-PM2 ¥37,800 です:価格はその時点のもの)。
マイクロフォーサーズ規格によってミラーレスという分野がスタートし、劇的な小型化と、なんとも魅力的な四角いボディが誕生したのです。
そしてその規格によってオリンパスやパナソニックのミラーレスカメラは共通の仕様が保たれ、双方が製造したレンズを互換性をもって使用することができます。
小型化によって削ったもの
こうした経緯で誕生したミラーレスカメラですが、小型化によって失ったものがあります。それは、反射ミラー、光学ファインダー(レンズ越しに見られる覗き窓)、そしてオートフォーカスセンサーの3つです。
反射ミラーは、なくなったとしてもユーザーの操作面への影響はそれほど大きくはありません。光学ファインダーは代わりにボディ背面に大きな液晶画面が付いているので、操作感が劣る、と感じる人は多くないかもしれません。
となると問題はオートフォーカスです。一眼レフとミラーレスはオートフォーカスのしくみが異なるのです(最新機種は除く)。
「一眼レフを小さくしたもの」と言われてミラーレスを買ったのに、一眼レフを使うときのような小気味よいリズム感で写真が撮れない、と嘆く人もいるのではないでしょうか。
それはオートフォーカス(AF)が起因しているかもしれません。
一眼レフは専用のオートフォーカスセンサーユニットを使った「位相差検知AF」というシステムを搭載しています。一方、ミラーレスはコンパクトデジタルカメラと同じコントラストAFというしくみです。
次回はこのしくみの違いを解説しましょう。
お楽しみに。
著者: 神崎洋治 (Google+ ページにアクセス)
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