写真をこれからはじめる人も、プロの写真家も共通に知っておくべき構図のセオリーというものがあります。
今日はその構図のセオリーの第一歩、「日の丸構図と3分割構図」について解説します。
主題と副題
写真には主題や副題がある、という話しをよく聞きます。
主題とは写真を通して見る人に送るメッセージ。
もっと解りやすく言えば、何を見て欲しいかをはっきりさせる、これが主題を決める第一歩です。
例えば、第一回に紹介したスイーツの写真だって、こ~んなスイーツを食べたよ、ってことを見せたいのなら、全体が写るように配置してシャッターボタンを押せば良いですよね。こ~んなでも。
しかし、「それで本当にいいのか?」ということです。
この講座を見に来てくれているような、向上心を持って撮影に取り組もうとしている人にとってはそれでは不十分ですよね。
スイーツの具材のしたたるようなみずみずしさ、彩りの鮮やかさ…美味しかったことを少しでも写真で伝えたい…それでこそ「おいしそ~!」となるのではないでしょうか。
前回はそれを「アングル」や「アイレベル」…つまり視点の高さで解説したわけです。
これらは通常「構図」でくくられます。
写真の中、つまりフレーム(外枠)内のどこに何を配置するのか、そしてアングルはどの高さ(角度)が良いのか、そういうことで「構図」は決まります。
そこで今回はセオリーの話をします。
つまり常道。
これさえまず覚えれば、最初の一歩を踏み出すことができます。しかも効果テキメンです。
それが「日の丸構図」と「三分割構図」です。
日の丸構図とは
被写体を写真のど真ん中に配置する構図のことを「日の丸構図」と呼びます。
例としては、やはり人物写真が最も解りやすいと思うのでいつものこれ。
写真のど真ん中に人を配置して撮った例。これが日の丸構図です。
スナップ写真の多くはこのような構図の写真が多いですね。
日の丸構図が悪いというわけではありません。長所と短所があります。
長所は写真が安定すること。変な構図・・という人はむしろ少ないでしょう。
欠点は面白みがないこと。
こうしたら良いのに、という点はいろいろと挙げられます。
例えば、人物に主題を置く場合は、顔を構図の中心に配置すると頭の上に無駄なスペースが生まれます。ここですね。
だから、人物を引き立たせる構図としては、顔がもう少し上にくるように配置して撮影した方が見栄えが良い写真になります。
ただし、今回のようなスナップ写真の多くは後ろのきれいな海も見せたい、つまりは背景が副題として意味を持つことになります。
このように後ろの景色も見て欲しいと思ったら、構図を変えてみましょう。
三分割構図
日の丸構図に対して、良い構図のセオリーとしてすぐに活用できるのが三分割構図です。
三分割構図とはフレームの縦と横を三分割した線を引きます。もちろん普通は頭の中で。
そしてこの線上、または交点上に被写体をします。これが三分割構図です。
三分割構図を知っていると写真がグッと良くなります・・たぶん。
どれだけ常道か、というとiPhoneなどの撮影画面に三分割構図のグリッド表示機能があることが、それを物語っています。
iPhoneなどのスマートフォンや、コンパクトデジタルカメラの多くの機種で、撮影の際に液晶画面にこの三分割ラインを表示させることができます。
iPhoneの最新版 iOS7の場合は標準でグリッドが表示されています。
(グリッド線が細くて見えづらいですが、赤い矢印のところです)
旧iPhoneやiOS6等ではカメラアプリで画面上の「オプション」をタップし、「グリッド」をオンにすると、三分割構図用のグリッドが表示されます。
グリッドの線上や交点上に被写体を配置して撮影します。そうすることで、日の丸構図と比べて魅力的な構図になりやすい三分割構図での撮影がやりやすくなります。
普段は気にしていなかったかもしれませんが、これからはこのグリッド線を意識して被写体を配置して撮影してみましょう。
なお、三分割構図は必然的に背景が大きく広くとれます。
その広い背景に副題を込めることができます。
この写真で言えば、被写体を構図の左に配置したことで、右側の広いスペースでエメラルドグリーンの海と青い空、白いボートやビーチのホテル等、リゾートの雰囲気が副題として活きてくるわけです。
なお、初心者の多くが日の丸構図に陥ってしまう大きな理由が、オートフォーカスは真ん中で合わせる、という神話みたいなものがあるためです。
昔のカメラは「ここにピントを合わせたいモノを配置しろ」と言わんばかりに、ファインダーの中央に四角い枠や丸い枠が書いてありました。
ご存じかとは思いますが、今ではシャッターを半押しして中央でピントを合わせたら、シャッター半押しのままで被写体の配置をズラして三分割構図に配置変更することができます。
また、iPhoneなどのスマートフォンでは、指でタップした場所にピントを合わせてくれるので、最初から被写体を中央に配置する必要もありません。
さぁ、まずは日の丸構図を脱出して、ワンランク上の構図を目指しましょう。
三分割構図を使ってみることが最初の第一歩です。
著者: 神崎洋治 (Google+ ページにアクセス)
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