前回「一眼レフとミラーレスの比較(2) オートフォーカスのしくみがまるで違う」の続きです。
一眼レフとミラーレスカメラ、実は操作感が大きく異なることに気付いた人も多いと思います。
ミラーレスカメラは大半がコントラストAF方式
前回、一眼レフは人間の眼のピント合わせのしくみに近い専用のAFセンサーを搭載していることを解説しました。しかし、一般にコンパクトカメラやスマートフォンには一眼レフのようなAFセンサーはありません。ビデオカメラ(ビデオカム)にもありません。
じゃあ、どうやってピントを合わせているのか、というとプレビュー映像を解析してピントが合うところを探すのです。コンパクトカメラやスマートフォンは液晶にレンズが捉えたプレビュー映像が出ていますね。被写体にレンズを向けると、最初はボヤーっとしていた映像がだんだんクッキリしてきて、またボヤーっとしたら「行きすぎたぞ!!」という感じで戻ってきてピントが合います。ビデオカメラのようにピント合わせが遅いシステムだとそのピントが合う位置を、ジー、ジーと探している様子がよくわかりますね。
(図「体系的に学ぶデジタルカメラのしくみ 第3版」(日経BP社)より)
このシステムを「コントラストAF」と言います。「ピントの合う位置はコントラストが最も高い位置だ」という考えに基づき、コントラストの度合いを解析してピント位置を探すのです。カメラの場合はビデオカムよりずっと高速にピントを合わせるので、ビデオのようにピント位置を探してウロウロする様子はあまり見られないかもしれませんが、基本的なしくみは同じです。
コントラストAFは専用のAFセンサーが要らないのがメリットです。更に、プレビュー映像の解析をそもそも行っているので、それを拡張させれば、被写体の顔を検出してピントを合わせたり(顔認識)、笑顔を検知したら自動でシャッターを切る(スマイルシャッター)などの機能が導入しやすいという利点もあります。逆に一眼レフでは顔検出のような便利機能をあまり見かけないのは、「一眼レフを使っている人はそんなチャラい機能は要らないだろう?」ということではなく、AFシステムの違いによるところなのです。
一方、コントラストAFの欠点はピント合わせが遅いことです。そのため、スポーツ撮影やペット撮影など、被写体が動いている撮影には一眼レフのような素早い反応はのぞめません。
ミラーレスは前回解説したように、小型化のために一眼レフのAFセンサーを失いましたので、コンパクトデジタルカメラやスマートフォンと同じコントラストAFが基本です。だから、俊敏性や小気味よさでは一眼レフの方が優れていると言えるでしょう。
一眼レフは動画撮影やプレビュー映像のピント合わせが苦手、でも・・
ところが、さらに更に言うと、一眼レフの位相差検出AFにも実は大きな欠点があるのです。それは動画撮影や映像プレビュー(ライブビュー)を行っているときには、厳密に言うとAFセンサーを働かせることができない、ということです。これは一眼レフの基本的な構造上の問題です(この問題を克服するためにいろいろなメーカーが最新技術を駆使してきました)。
すなわち、一眼レフとミラーレスでは、オートフォーカスのしくみの違いから、本来は全く異なる性質のカメラだった、と言っても過言ではないのです。お互いの良さを理解して一眼レフとミラーレスはそれぞれ使い分けるべきなのが理想です。
今回の本題としてはここまでですが、実はこの相反するしくみの差を埋めるべく、技術の革新が行われています。それがAFセンサーがなくても位相差検出AFを行うしくみ「像面位相差AF」というしくみです。ニコンの「Nikon 1」やキヤノンの「EOS M」、オリンパスの「OM-D E-M1」など、最新のミラーレスにはこの技術が採用されてきています。
一眼レフの方も、動画撮影やプレビュー映像を表示しているときも位相差検出AFでピント合わせを行う技術も導入されつつあります。一眼レフとしては「EOS 70D」が革新的な領域へと踏み込みました。この辺のお話しはまたの機会にじっくりと解説したいと思います。
今回のお話しは私の著書「体系的に学ぶデジタルカメラのしくみ 第3版」で解説していますので、よかったら読んでくださいね。
では次回もお楽しみに。
著者: 神崎洋治 (Google+ ページにアクセス)
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